最近、よく乳歯のむし歯が永久歯の歯並びに影響しますか??
とお母様科だから質問を頂きます。そして、最近では永久歯の歯並びに影響するだけではなく、永久歯の虫歯に「感染する」可能性も論じられています。
乳歯のむし歯をそのままにしておくと、萌出前の永久歯に影響を与え、歯の石灰化を阻害したり、エナメル質形成不全症という状態になることがあります。
乳歯の治療について
最近でこそなくなりましたが、20世紀末あるいは昭和の時代には「どうせ抜け替わるんだから、乳歯の虫歯は治療しなくても良い」などと考えるお母さんたちもいて、ひどい場合は「乳歯の虫歯は治療しないでください」と言われることもありました。
そもそも乳歯の段階で、たくさんのむし歯が出来るのは、何らかの生活習慣や口の中の悪い環境が原因で、結果的に永久歯も同じようにむし歯になる可能性が高いのです。
従って、乳歯のむし歯は当然のことですが、大人の歯並びに影響します。個人差はありますが、乳歯は2歳前後に萌えそろい、ほぼ12歳まで使います。
中学生になる頃、あるいは女の子からお姉ちゃんになったり、声変わりしたりする頃にはほとんどが永久歯に萌え変わります。
乳歯の役目は、咀嚼の他に、顎や顔の発育に大きく影響します。歯並びを直しただけで、一重まぶたが二重まぶたになったなんて例もある位です。
顎や顔の成長は体の成長とは仕組みが違い、顔の大きさはともかく乳歯の生えている10年間位の間に成長の方向性が決まってきます。
むし歯を始めとするいろいろな原因で、早期に乳歯を抜歯してしまうと、咀嚼力や口を閉じる口輪筋の力が弱くなり、顎や顔が十分に成長せず、永久歯の萌えるスペースが足りなくなり、横や脇から出てくるなど、歯並びが悪くなるのです。
あまり歯科では乳歯の抜歯は極力おこなわず、出来るだけ保存し、咀嚼力や口を閉じる口輪筋の力が発揮出来るよう心がけています。