先日、他院から当院転医された患者さんが、他の小児歯科で治療を受けたが、最初からスタッフ総出で押さえつけて治療を受けるような状態で全身麻酔での治療を進められたが、親としても安全であれば全身麻酔での治療を希望しますが、全身麻酔は年齢的には問題ないでしょうかというような質問を頂きました。
一般的に、子供の歯科治療における適応年齢は、母親以外との会話が可能となる3歳頃からといわれています。
知らない場所や人に対する恐怖心も芽生えたり、「本当に悪い子ね!歯医者さんで注射してもらうよ」などの母親の心ない言葉により、病院や歯医者は、怖いところだという潜在意識をもってしまうのです。
歯科の麻酔について
次に歯科麻酔についてですが、大人、子供の区別なく治療に必要と思われたときは使用します。麻酔は局所麻酔と全身麻酔とに大別できます。一般的に、開業医レベルでの麻酔は、局所麻酔(歯を抜くときや、歯の神経をとるときに使うものです)や、治療前に前投薬といわれるくすりを使用したり、笑気などの吸入鎮静法を行ったりすることが主になります。静脈内鎮静法や全身麻酔は、全身管理ができる設備があり、麻酔医がいる病院で行うものです。
時々報道される歯科治療中の麻酔で亡くなった例を聞いて心配されているお母様方も多いですが、確かに麻酔薬の中には、薬剤を安定させるための種々の添加物がごく微量含まれており、アレルギー性ショックを起こす可能性は否定できませんので、一般的には麻酔薬を使用する前に、皮内テストをしておくこともよい方法と言われています。
この他、麻酔の針を刺す時の痛みを和らげる表面麻酔を使用したりすることも必要です。
虫歯の深さにもよりますが、強い痛みがないようであれば、しばらく治療をお休みして、忘れた頃に治療を再開するのも一つの方法です。
子供が歯の治療で泣くのは、
実際に痛いのではなく、何をするのかわからない怖さが大きな要因であり、多くの小児歯科医がTSD法という手法を用いています。
T(TELL)チェアに座ったまま、使用する道具を実際子供に持ってもらいわかりやすい言葉に置き換えて説明。
(バキューム→掃除機など)
S(SHOW)コップにむし歯を削る道具から水をだしてバキュームで吸ってみせる。
(何回かやることで音になれてもらう)
D(DO)鏡を見せながら口の中でカラ回しの練習後治療をスタート
(麻酔は鏡で見せない)
痛みがないときは慣れるまで練習を何回か行うことがあります。ほとんどの子供たちは1回で上手に出来るようになります。
子供たちが楽しく治療して帰ることができる工夫がまだまだありますよ。
初めて見るような恐ろしい機械が並ぶ歯科診療室は、子供ならずとも、恐怖や不安をかき立てるには十分な空間です。
治療を急ぎすぎて、子供の頃の治療がトラウマになるような事態は避けたいモノです。